VOL.3高齢者介護施設制度化!
HACCP導入マニュアル手引書手順8から手順12
はじめに
平成30年6月13日に公布された食品衛生法等の一部を改正する法律により高齢者介護施設は、「HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた衛生管理」の対象事業者になっています。
2回にわたって 手順1から手順5までと手順6から手順7までをご説明させていただきました。今回は「導入のための原則12手順」より手順8~手順12までをご説明させていただきます。
最終章についても、厚生労働省「HACCP入門のための手引書」に沿って、ご説明させていただきます。HACCPを導入しているということは「製品の安全を証明する」に目を向けていただければと思います。
*食品製造におけるHACCP入門のための手引書40ページより
手順8【原則3】管理基準(CL)の設定
手順9【原則4】モニタリング方法の設定
重要管理点(CCP)で管理すべき基準値(例えば、温度、時間、速度など)を決めます。これを管理基準(Critical Limit:CL)といい、工程中で達成されないと安全が確保されていない製品となってしまいます。
また、管理基準(CL)に達しているか常時確認することをモニタリングといい、温度計、時計、速度計などを用いて測定し、記録します。
中心温度計により直接測定する場合
フライヤー、スチーマーなどを用いた代理特性でモニタリングの場合
*代理特性とは食品の中心温度と密接に関係する特性を指します。直接、製品の中心温度を測定せず、フライヤーやスチーマー、煮汁などの雰囲気温度、時間ではコンベアの速度などを代用します。商品価値を損なうことなくモニタリングできます。また、食品の大きさや厚みなど温度伝達にかかわる場合があります。
事業所で調理を行っている場合(鯖の塩焼き)
調理済み食材を使用している場合
(鯖の塩焼き)
手順10【原則5】不具合があった時には「改善措置」
改善措置とは、設定した管理基準が達成されたなかった時に、製造工程の中で発生した問題点を修正し、是正することを言います。
事業所で調理を行っている場合(鯖の塩焼き)
調理済み食材を使用している場合
(鯖の塩焼き)
あわせて修理や点検の具体的な手順、修理業者の連絡先の一覧など作成しておけばすぐに対応できるようになります。
改善記録を見直すことで、品質の安定化や、クレームの減少に役立てられます!
手順11【原則6】定期的に見直す[検証]
担当者A:手順通り実施されているか?
担当者B:計器類の校正を実施しているか?
担当者C:プランは適切か?改善措置は適切か?
★定期的な検証では、日頃の作業が適正に実施されているか記録を確認してみるとよいでしょう。また、計器類の定期的な校正も実施し、記録をつづっておきます。
検証の頻度は機器の取扱説明書、 メーカーの推奨頻度、モニタリングのばらつき具合、 製品の特性やモニタリング内容を参考にして決めます。ただし、それにとらわれず、随時検討し、 適切な頻度を探し出してください。但し、実施記録は毎日~概ね1週間以内、それ以外は1年以内に1回が目安です。
★検証は大事な作業です。ここでしっかり確認しないとHACCPプラン自体があやふやになって「安全」が担保できません。
手順12【原則7】記録の文書化と保管
HACCPでは正確な記録を保存することが大切です。記録はHACCPを実施した証拠であると同時に、製造した食品の安全性にかかわる問題が生じた場合に製造工程や衛生管理の状況をさかのぼり、原因を追及するための手助けとなります。そのため、記録のつけ方と保存方法をあらかじめ決めておきましょう。
CCPのモニタリング記録をつけてみましょう!
CCPのモニタリング記録(例)
代理特性でCCPのモニタリング記録をつけてみましょう
事業所で調理を行っている場合(鯖の塩焼き)
調理済み食材を使用している場合
(鯖の塩焼き)
作業中の記録は難しいことですが、ここは重要です!「証拠を作る」だけではなく、記録を見直すことで、機器の特性や傾向、季節ごとの変化などを評価することができ、品質を安定させるための手掛かりにもなります。
終わりに
HACCP導入マニュアル手引書手順1から手順12までVOL1「手順1~手順5」とVOL2「手順6~手順7」及び今回分の3回にわたり、厚生労働省マニュアルを基に説明させていただきました。今後の厚労省の発表により、内容が変更となる場合があります。また、各事業所様により判断根拠及び管理手段が異なりますので何卒ご理解の上、本マニュアルを参考にしていただければ幸いです。 各高齢者施設・介護施設のHACCP導入に向け微力ながらケアユー博多工場は尽力させていただきたいと思います。次回は、フローダイアグラム(製造工程図)簡単作成ソフトプレゼント!について掲載予定です!